伊勢新聞

2022年9月28日(水)

▼「(自民)党として旧統一教会と関係を切るとしているので、私も今後付き合うことはない」―関連団体の行事に出席していた前野和美県議会議長が、記者団の取材にそう言ったという。要は党の問題で、自分の頭で考える問題ではないということか

▼政務活動費を使っていたことについては「反社会的団体だと認められたわけではない」から返還する予定はないという。「反社会的勢力」とはまず暴力団とその関連企業、エセ政治団体などで、詐欺や脅迫で利益を得ている団体、個人も含まれるが、暴力団関連は警察が認定しているものの、それ以外は誰が認めるかあいまい。霊感商法で逮捕者を出した旧統一教会も、言われてみれば、誰も反社会団体として認定したわけではない

▼旧統一教会関連事案として、県政の中に根を張っていた事案は5件。県の伊勢湾再生事業で応援を受け、関連団体の留学生日本語弁論県大会では県が後援。持ちつ持たれつで、補助金も交付した例はないというから、緊縮財政の県としては政治家の選挙応援同様、願ってもない団体だったに違いない

▼前野議長の関連行事出席に要した政務活動費は本人や会派の収支報告書に記載されている。会派も議会事務局も素通りさせていた。「オレだけが悪いのかい」と前野議長は言っているようでもある

▼消費者センターへの相談を教会関係者が問い合わせた件数について、県環境生活部長は「相談者の特定につながる懸念があり、この場での報告は控える」。県議にはちゃっかり事前に報告していた。県民のためを装い、保身と一体なのが見事だ。