▼「森友」があり「加計」があり「桜を見る会」があった。内閣支持率は大きく落ちることはなく、また、すぐ回復もした。コロナ禍で国論を二分した東京五輪・パラリンピックが強行されても、終わってみると上昇した感さえある
▼忘れっぽい、一過性の国民性などと言われたが今、報道機関の世論調査は急落している。共同通信社が40・2%で岸田内閣発足以来「最低」。不支持率が46・5%で初めて逆転した。危険水域といわれる30%を切ったケースも、全国紙の中にはある
▼原因が元統一教会問題で、国葬問題も絡むとされるとなると、違った見方も出てこないか。自民党が大勝した時の横暴さは何度も見せつけられてきたからだ。政治の運営さえしっかりしていれば多少のあきれた振る舞いも仕方ないかというある種の諦観、上から目線もあったのではないか
▼元統一教会問題で、そんな余裕は消し飛んだのかもしれない。自民党のいつもの悪い癖と思い込んでいたが、得体の知れない連中に操られていたのではないか。それも、かつて合同結婚式や霊感商法で世間を騒がせた組織で、とうに姿を消したと思っていたがずっと健在で、突然〝フィクサー〟然として眼前に迫ってきた
▼不気味さとともに、自分は誰を支持してきたか自信を失い、まんまとだまされてきたのではないかという思いも募る。安倍晋三元首相の国葬問題で、思いはさらに複雑だ。衝撃的な死で国葬に納得したが、ひょっとしたら印象操作にひっかかってしまったのではないか、と
▼自分へ向かう感情が不支持の多くを占めているのかもしれない。