伊勢新聞

安乗の人形芝居の魅力を写真で 鳥羽のかどやで泊正德さん展 三重

【安乗の人形芝居の魅力を伝える写真展を開いている泊さん=鳥羽市の鳥羽大庄屋かどやで】

【鳥羽】三重県鳥羽市鳥羽の観光交流施設「鳥羽大庄屋かどや」で、志摩市阿児町の写真家泊正德さん(73)の個展「文楽~安乗の人形芝居の魅力~」が開かれている。志摩市安乗地区で400年以上受け継がれる国指定重要無形民俗文化財の人形芝居と、背後で人形を操る「遣い手」を捉えた作品が並ぶ。26日まで。

泊さんは教員を定年退職後、本格的に撮影活動を始めた。伊勢志摩の魅力を写真で伝えたいと、地域の自然や伝統文化、伊勢神宮などを撮り続けている。

安乗の人形芝居は、安乗地区の安乗神社の例祭に合わせ、コロナ禍前まで毎年9月に、地元の保存会や中学生らが上演し奉納してきた。泊さんは、郷土の伝統を守る住民の熱意や後継者育成への努力を伝えたいと、約10年前から、上演当日だけでなく、本番に向けた練習風景を撮影してきた。

会場には、これまで撮りためた中から20点を展示。人形を操る遣い手の真剣なまなざし、遣い手によって命を吹き込まれた人形の繊細な表情などを切り取った作品が並ぶ。

泊さんは「遣い手は本番では黒子。練習時には、人形に込める思いが表情に見える。それを伝えたい。400年継承されてきた歴史と地域の人たちの思いに称賛の気持ちを込めた」と話していた。

安乗の人形芝居は10日、3年ぶりに奉納される。