▼安倍晋三元首相の国葬の企画・演出業務が、同元首相の主催した「桜を見る会」の会場設営業者一社の入札で、そのまま落札した。東京五輪を巡る贈収賄事件はさらに出版業者「KADOKAWA」に拡大し旧統一教会問題は収束の気配はない
▼日本全体が巨大な闇に包まれている感じだ。報道各社の世論調査で内閣支持率は急降下している。国民の政治不信はとどまることを知るまい。五輪汚職は検察が捜査し、旧統一教会問題は政府・自民党が関係について検討する中で、依然強行突破を図ろうとしているのは国葬の会場設営だ。「桜を見る会」の業者に決定するのはいかにも政府・自民党らしい
▼松野博一官房長官は「便宜を図っていない」と釈明したが、いわずもがな。便宜を図っていたら刑法の対象になろう。最低限の倫理というやつだ。野党は「国民からみれば出来レースだ」。国民から信頼されるということはそのように見られないようにするということでもある
▼県の場合は、応札が一業者だと入札は原則中止。昭和60年の県議会棟建設の時は、同39年の庁舎建設業者が指名業者も未定の段階で受注のあいさつ回りをしたという理由で入札から外された。原則必ずしも絶対ではなく、入札排除が背景に業界の競合をにおわせもしたが、公平・公正を担保する努力は行政として当然だ
▼国葬に対する国論が二分し、反対がむしろ多い中で、元首相が国会で虚偽答弁118回に及んだとされる「桜を見る会」についてその設営業者に国葬を委ねる。ある意味ふさわしい。泉下の元首相も、満足かもしれない。