▼津市榊原町の市榊原温泉湯の瀬が市営の温浴施設から福祉型滞在施設としてリニューアルオープンした。高齢者、障害者と介助者ら幅広い層が楽しめる観光施設として榊原温泉郷の観光拠点をめざし、前葉泰幸市長が「地元旅館と競合することなく新たな顧客を迎える」
▼昭和63年にオープンし約33年間。平成五年のピーク時は年間利用者数27万人、平均15万人で、延べ640万人が利用したが、榊原温泉郷の入り込み客減少とともに利用客も減り、老朽化に伴い施設の故障などで公費負担がかさみ、昨年11月に閉館して再整備を検討していた
▼結果、DBO(デザイン・ビルド・オペレート)方式を採用。公共が施設を建設、所有し、民間事業者が特別目的会社を設立して運営することで「ランニングコストに税を投入することなく、施設の新設が可能」(前葉市長)となり、建設費2・1億円を要したが、事業者から年間1300万円が20年間、納付され「市に負担が生じることがありません」(同)
▼県が鈴鹿青少年の森で導入する民間主導で公共サービスを提供する「PFI方式」など、このところ耳慣れない開発方式が目立つ。県議会は民間とのリスク分担について十分な説明を求める付帯決議を付けた。DBO式はPFI方式に比べ調達コストが低く抑えられる半面、運営期間内の柔軟な契約内容の変更や、モニタリングはできないという
▼福祉旅館としては全国2番目で大いに注目されているというが、継続優先で、先駆者リスクはどの程度織り込み済みか、あまり説明のないのは気になる。