2022年8月16日(火)

▼コロナ感染者の急増で保健所の作業が遅れ、これまで通りに情報提供すると実態とかい離するとして、県が「公表の方法を変えることにした」。旧軍の「転進」で意味は「退却」「撤退」。「全滅」を「玉砕」と言うがごとしだが、15日を迎えて戦争関連の記事が集中する中で、今年は特攻の話が多い気がする。ウクライナの戦いに相通じる感情があるのかも知れない

▼本紙も大型爆弾と操縦席だけの特攻兵器「桜花」に乗り込む予定だった元隊員の回想を掲載している。陸上攻撃機につるされ、敵艦近くで分離されて滑空して体当たりするという。ほとんどが途中で散っていった。出撃拠点の鹿児島県の鹿屋基地に笑顔で向かう仲間を毎日見送ったという

▼出撃基地を慰問した歌手の淡谷のり子が、歌っている途中に出撃命令がきて笑顔で退席する若者を涙で見送ったと語っていた。特攻兵らが笑顔で出立した話は多い。心配させないため、人に会ったら必ず笑顔を浮かべろと教えられていた。人影が絶えると打ってかわって沈痛な表情になってという報告もあった

▼特攻作戦に大きく影響を与えたとみられる「玉砕」は、昭和18年5月、アリューシャン列島のアッシ島で起きた。「全員玉砕せるものと認む」と、発表文にその言葉が登場する。傷病兵は自決、残る兵全員が全力で攻撃、とある。全員戦死という言葉を使っては作戦参謀の責任が問われかねない。体裁のいい「玉砕」をひねり出した、と評論家保阪正康さんが推測している

▼転進、玉砕もだが、特攻も何だか格好良く扱われているようなのが気になる。