▼県や津、四日市両市などが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体との関係が相次いでいる。担当者は「宗教的活動がないこと」の基準を満たし「当時の判断に誤りはなかった」と主張する一方「関連があるかどうかの線引きが難しい」。また「旧統一教会の関連団体だとは知らなかった」とも
▼県が基準を確認すると、そこで思考を停止し、それ以上の可能性に意図的に踏み込まないようになったのは、カラ出張事件からだ。予算獲得のためを大義名分に、県職員が三年間で10億円以上の大半を自分らの飲み食いに使った〝公金横領〟事件だ
▼阪神淡路大震災で交通網が遮断されていた日に監査委員事務局が九州に出張したことになっていたのが発覚のきっかけだが、それが分かったのは情報公開条例が拡充されたことによる。オンブズマンが情報公開請求で次々に県の隠された不祥事を暴き、責任を追及した。職員らは議会やマスコミ以上に、オンブズマンの訪れに震え上がった
▼そのころ東京・青山の職員寮跡地を売りに出すことになった。反社会的勢力関連団体が入札する情報があり、県に伝えたが、基準を満たしていれば排除できないとし、調べる立場にもないという
▼法制度に明記された以上のことはもちろん、ぎりぎりの判断も責任を追及される危険がある。余計なことはできないという回答だった。君子危うきに―の県庁文化が生まれ、今その系譜にいる
▼職員は知らない。ドロをかぶっても排除するすれすれの先輩がいたことを、「知らなかった」は「知ろうとしなかった」だと恥じ入ったことを。