▼尾鷲市の国道42号、信号機のある交差点で11日、乗用車と2人乗りバイクが出合い頭に衝突し、バイクの2人が死亡した。この事故で、県内の事故死亡者が今年初めて前年数を上回った
▼春の全国交通安全運動(4月6―15日)で、期間中の交通死亡事故は2年連続ゼロを記録。翌5月は統計を取り始めた昭和28年以降、初めて死亡事故ゼロを達成した。前年比もマイナス10人以上を続けていたが、夏の交通安全運動(7月11―20日)期間中は前年期間比1件増の2件。まるで転機のように増減比が接近。今月はプラスマイナスゼロが続いていた
▼月の死亡事故がゼロとなった5月、県警交通企画課はシートベルト着用率が啓発活動で上昇したことが一因と語った。しかし、前月の春の交安運動期間の指導件数は、シートベルト非着用が1178件で夏が1046件。速度超過はそれぞれ、913件、912件。期間中の特徴も、春が「歩行者や自転車の事故が昨年より増えている」、夏が「高齢者の交通事故防止に重点」
▼変わりばえしないというか、繰り返されているような気がする。事故撲滅に王道はないということだろう。尾鷲市の現場は片側2車線で、信号機があるものの市内では速度が出やすく、事故頻発地帯だという。乗用車は右折しようとしていたといい、珍しい事案ではない
▼死亡事故ゼロの5月の翌6月、ゼロ記録を途切れさせたのは大型車の自転車巻き込み事故だった。当局の対応や地道な啓発活動で防げた事案である。前年比プラスからマイナスへ、一日も早い再転換が望まれる。