伊勢新聞

2022年8月11日(木)

▼世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連イベントに当時の三重県知事名で祝電を送ったかを問われ「公費による祝電送付の該当はなかった」と答える。同団体関連の「三重第一連合会」名で県男女共同参画センターが「登録団体」として認定していることについては県は「旧統一教会の関連団体という認識がなかった」

▼まともに答える気はなく、いかに批判の矛先をそらそうとしているかで共通している。土壌埋め戻し剤として産業廃棄物をフェロシルトの商品名で県リサイクル製品に認定していたことについて「データを偽って申請していたら見抜けない」。善意が前提の制度だから悪いのは申請側だと言っていたのを思い出す

▼「特定の政治・宗教を支持する団体でないこと」の登録要件がなぜすり抜けられたか。「過去の記録はないが、団体側に確認したはず」。私は分かりませんと言っているのだろう。基金の中核を県が出資する県関係団体が活動資金を支援する非営利の善意の組織として、新興宗教の支部が交付を申請してきたことがある

▼活動内容は立派で本部との関係はないというが「政教分離」の建前もある。布教活動の一環の疑いは確認しようがない。何より、県関連団体からの支援を受けていることを表明されることは釈然としない。断るべきと思ったが、県の課長は宗教団体を理由に支援先を差別すべきではない、問題は中身という

▼宗教活動に公的資金が入ることに抵抗はないのだろう。善意か悪意か、確認不能なことにも不安はないらしい。だまされるべくしてだまされる人々と言えようか。