伊勢新聞

2022年8月9日(火)

▼「三重県がずっと以前から提案していた。知事会長(平井伸治鳥取県知事)にもそうおっしゃっていただいた」―一見勝之知事は2日の知事定例記者会見で、政府が新設した「BA・5対策強化宣言」の枠組みへの経緯をこう誇らしげに語ったという(本紙『まる見えリポート』)

▼新型コロナの新規感染者数が2483人で過去3番目に多かったと発表した日である。80代と70代の男女二人が死亡したと発表した日でもある。その前日も80代の男女2人が死亡。このところすっかり珍しくなくなったとはいえ、自慢話より、死者に思いを寄せられなかったものか

▼〝公害Gメン〟と言われて四日市海上保安部の田尻宗昭に四日市港浄化への協力を申し入れて門前払いされた県幹部が「上級官庁を鼻にかけて」と悔しがったことを先日書いたが、いわゆる〝上級官庁〟に相手にされないとひがむ半面、県職員はちょっと褒められると舞い上がるようだ

▼国へ政策提案型の予算獲得を唱えた北川改革で、立案の中心となった県幹部が、国から熱心な聞き取りがあったとして、それまで無能ぶりを非難していた国の評価を一変させたことがある。えっ、そんなことがうれしいの、と書いたことがある

▼宣言は知事会長や国の評価は高く、隣県知事からは「役に立たない」と酷評されたらしい。経済活動を継続したい向きには「よく言った。ういやつ」ということになるのだろう。国も医療逼迫(ひっぱく)や保健所の多忙を理由に新型コロナの感染症法上の分類を引き下げる動きがある

▼そんな理由で決めていいものではあるまい。