伊勢新聞

2022年8月4日(木)

▼保健所業務のひっ迫で、県は新型コロナウイルスの新規感染者への連絡方法を簡略化する。重症化リスクが低ければ取りやめ、代わりに医療機関から届け出をもとに携帯電話にショートメールする

▼症状や接触者調査の状況を公表資料に記載しないことにしたのに続き、対策簡略化第二弾。感染急拡大に反比例して県の対策はきめが粗くなる。「反省点を次回に生かす」の決まり文句は画餅になった

▼五人以上感染した施設の積極的疫学調査もやめるらしい。重症化リスクで判断するという。専門家でも難しい重症化リスクを基準にするのだから効果は期待しないでもらいたいということだろう。結果、クラスター(感染者集団)の発生件数が減少するともいう。それはそうだろう。まるで漫画だ

▼思えば保健所というのは県の組織としては異質だ。直接県民に接して結果を出す部署はあまりない。県が直接何か事業をして成功する例はほとんどないが、許認可に基づいて執行する保健所も、県組織として例外ではないのではないか。第一波から保健所職員の人手不足が問題として取り上げられ、再三補充策が発表され、三年を経て、やっぱり人手不足で県民へのサービスを低下させる。公的機関・企業なら大問題だろう

▼「感染防止行動徹底アラート」を発令して一見勝之知事はマスクや手指消毒、換気などを要請しても行動は「今はブレーキを踏む段階ではない」。慎重な行動を呼びかけることぐらいできないか。「みえ得トラベルクーポン」との矛盾を指摘されるのは避けたいのだろうがそれはそれ、これはこれである。