伊勢新聞

2022年8月1日(月)

▼リニア中央新幹線を巡り、亀山市の動きが活発。櫻井義之市長を会長とする市民会議が早期実現など6項目の基本目標を定めた事業計画を可決。一方、JR利用客の増加対策も盛り込んだ。JR関西本線の存続に黄信号がともったからだろう。在来線のダイヤ削減は新幹線駅設置とセットのJRの戦略だが、仮に廃止などになっては元も子もない
▼櫻井市長は、JR西日本が輸送密度の低い線区に挙げた関西本線(亀山―加茂間)について「県と沿線自治体と連携を図り、本路線の利用促進に向けた取り組みを進める」。もっとも、一見勝之知事にそれほど危機感は見られない。「関西本線利用促進県会議」の設置は決めたが、平均乗車乗客数が1000人を切る路線のあり方を検討することについては「コロナ前の数字で1090人だから(関西本線は)対象外ということになると思います」と、どこか余裕がある
▼4月5日にJR西日本を訪問して社長と面会して廃線回避を要望。利用者向上の見返りに内諾を得たというから、余裕には裏付けもあるのだろう。輸送密度が令和元年度時点で287人の名松線への懸念が再び浮上しているが、知事はこちらも「形式的には(協議の)対象になる可能性がある」と余裕をみせ「JR東海が直ちに廃止にするという話になっていない」
▼名古屋方面と南紀方面のバイパス機能を果たす第三セクター「伊勢線」を介した県のJR東海への貢献もあり、名松線の存廃は微妙なバランスで成り立っている部分もあろう。コロナと違い、一見知事の鉄道対策は現状維持に限り、安定感がある。