伊勢新聞

2022年7月24日(日)

▼三重県が3月に退職した職員の7月現在の再就職状況を公表した。在職中の知識や経験を活用したい企業・団体などに県が退職職員の情報を提供する制度を利用した課長補佐級以上の51人で、18人が県外郭団体へ、残りが民間団体などへ。総数は前年度比7人増。現行制度となった平成29年度以降で最多という

▼定年退職後の再就職は誰にとっても切実な問題で、県職員だからどうということはないが、公務員が在職中の権限を再就職に利用するケースは多く、届け出が義務づけられている。制度改定から4年。そろそろ緩みが出てきたのが過去最多でなければ幸い

▼制度は、団体・企業側がOB活用を申し出、県がOB名簿を提供するのが建前。県が再就職をあっ旋することは10年以上前に禁止されたが、県外郭団体のトップ級を見る限り、それ以前と現在は外形上連綿と続き、区別がつかない。形が同じなら、中身も変わるまいとついつい思ってしまう

▼県がそうしたけじめに鈍感なことも、数年前の議会と代表監査委員との間であつれきが起きたことで表面化した。部長経験者が監査委員を務める慣習が何代も続いている。その部門の監査はできない、いわば〝欠陥監査委員〟だ。3代前は総務部長経験者が監査委員となって、違法の疑いさえ出ていた

▼OBの再就職先は、県と関わりの深いコンサルタントなどへの就職が多い。離職前5年間の職務に関する契約業務は2年間できないし、知識を借りることも問題となるのだが、代表監査委員程度の抜け穴はみんながかいくぐっているのだろうと勘ぐってしまう。