伊勢新聞

2022年7月22日(金)

▼「朝令暮改」は朝に法令が出たかと思えば夕方には改めること。政策が変更し続けあてにならないことを戒める意味で用いられる。一見勝之知事が旅行代金を割り引く「みえ得トラベルクーポン」(県民割)の新規発行停止の目安を新型コロナウイルスによる病床使用率40%と定めてわずか三週間。同50%に改めたが、朝令暮改と称するのは、いささか酷かもしれない

▼いまだ性質不明な部分の多いウイルスが相手である。重症化率が低いという説を信じてはみたものの、18日には40代と70代の女性が死亡した。17人の新規感染者が二日続いた場合にアラートを発令する基準が現実に合わなくなり、満を持したつもりの病床使用率40%の基準も、また変えるかどうか、早晩選択を迫られそうだ

▼マージャンで言うぼやきに似た「病床使用率63%でも県民割を止めていないところもある」と、つい愚痴りたくもなろう。「他県の状況が全てではないが」とも。みじめさは、自分が一番よく知っているということだろう。「50%になっても直ちに県民割を停止するかどうかは病院の状況次第」。失敗から、ちゃんと学んでもいる

▼県民割継続を最初に決めた時は、国が事業継続の方針であることを理由にあげた。国の施策や他県の状況頼りで、県内状況を見極めて独自に決断することは手に余ることを認めているのだろう。「オミクロン株の場合は、ある程度は経済を回せると思う」。もはや、信仰に近い。コロナと経済と、どちらも惨敗するわけにはいくまい

▼がんばれ!。心が折れぬよう、ちょっと応援したくもなる。