▼「六日の菖蒲、十日の菊」よりは参院選後である。ここはやはり「後の祭り」のたとえを引いた方が適切か
▼当選した山本佐知子氏に対し、一見勝之知事は「観光や伊勢湾の再生などを掲げて選挙活動を展開されたと承知している」とした上で「それに加えて人口減少についても私どもと意見交換し、国政に反映してもらいたい」。開票日に当選セレモニー後の山本氏と面会したというが、その時に持ち出した話でもないらしい
▼一夜明けた山本氏の抱負はコロナ、物価高、観光など経済政策、伊勢湾再生で人口減少はない。戦いを終えた後の注文に、どれだけ真剣に向き合ってもらえるか。人口減少問題を取り上げた候補者支援団体はなかった。すぐどうこう現れる課題ではない。教育は直接家計に響くが、少子化は将来の社会像を描く問題。票にはなりにくい
▼県によると、県の人口は「平成19年をピークに減少が年々加速」。で、県人口減少対策推進本部会議を設置しての初会合の資料に19年ではなく、17年の数字187万人が掲載されているのは何のジョークか知らぬが、令和二年の国勢調査結果は約177万人で、五年前より約4万6千人減。減少率は2・51%で、過去最大という
▼五年前に「県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定。人口減少対策の「施策を展開」してきたともいう。結果は目を覆うばかりということか。知事は就任後「専門の部署がないことに驚いた」と語ったが、驚いたのは無策に、ではなかったか。職員の怠慢に知事が徐々に引き込まれる例は多い。初心忘れてはなるまい。