▼三重県菰野町役場敷地内の「ぼや」が議会も巻き込んでちょっとした騒ぎとなってむしろ燃え上がるいきおいらしい。誰の仕業なのだという議会の質問に、柴田孝之町長はじめ町当局は「個人情報なので言えない」と〝徹底抗戦〟の構え。町議の一般質問の内容や、取材で町長室に無断で押しかけた新聞記者に対し、訴訟ざたも検討中というから、穏やかではない
▼町によると、ぼやそのものはそう複雑ではない。役場玄関前でガスバーナーを使って除草作業をしていたボランティアが、誤って付近の植え込み3平方メートルほど燃やし、宿直の職員らと消火した。建物への類焼はなかった
▼議会から町の対応への批判が噴出したのは、ぼやを起こした人物を「個人情報」を理由に町が明かさないためだが、ぼや騒動を発表も、議会への報告もしなかった。消防への連絡も4日後で、警察への届けは今もしていない
▼町は「植え込みが枯れてきた」ので消防には連絡したが、被害は弁償済みだから警察には届けなかった、という。発表も議会に報告しなかった理由にはなりにくい。議会で同じ質問を繰り返したことで町議への告訴を検討するというのも尋常ではない
▼県も、ハシカの感染拡大や、初期のコロナのクラスター発生で、公表しようとはしなかった。県民の批判が強くなると、当事者に公表を働きかけ、実現させて水面下の自身の努力を隠そうとしなかった
▼今は、差別があるかのような理由づけで公表しようとしない。時短要請違反店も、法に反して公表しない。菰野町の騒動が、単に公表かどうかの問題ではないのを物語る。