「まる見えリポート」菰野町役場の「ぼや騒ぎ」 草を燃やした人物は? 非公表に議会が批判

三重県の菰野町役場の敷地内で先月8日に起きた「ぼや」の対応が波紋を広げている。ぼやを起こした人物を「個人情報」を理由に明かさないなど、町の対応に議会内から批判が噴出。町内部の人物を疑う声もある。他方の町が検討しているのは法的手段。一般質問の内容を巡って町議に対する訴訟を検討しているほか、取材に押しかけた記者を告訴する方針といい、騒ぎが収まりそうな気配はない。

町によると、ぼやが発生したのは先月8日の午後6時20分ごろ。役場玄関前の植え込みが3平方メートルほど燃えた。けが人はおらず、建物への延焼もなかった。この日は日曜で役場は閉庁していた。

原因は失火。ボランティアで除草作業をしていた人物がガスバーナーを使って敷地内で草を燃やしていたところ、付近の植え込みに燃え移った。宿直の職員が消火作業を手伝い、まもなく消し止めたという。

町は翌9日に引き継ぎを受けて事案を把握したが、報道機関への発表や議会への報告はなかった。消防に連絡したのも、把握から4日後の13日。警察への被害届は現在でも出していないという。

すぐに消防に連絡しなかったのはなぜか。町の担当者は取材に「日がたつにつれて植え込みが枯れてきたので」と繰り返した。被害届を出さない理由は「既に弁償してもらったから」だという。

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最大の疑問は草を燃やした人物は誰かということ。町は現在でも公表していない。担当者は「個人情報なので言えない」と説明。町職員など、内部の人物かどうかも含めて明かさなかった。

一方、その人物は役場の防犯カメラに写り、内部文書にも実名で書かれているという。ただ、情報公開請求をしても人物の特定につながる部分は黒塗りで、一部の町議は特定の人物を疑って調査している。

他方の町は「徹底抗戦」の構えだ。柴田孝之町長らがいた執務室に許可なく入ったとして、新聞記者を建造物侵入で告訴する方向で四日市西署に相談中。この記者は柴田町長にぼやの取材を試みていたという。

さらには柴田町長が自ら特定の町議を相手取り、民事訴訟を提起することも検討している。選挙活動に関することなど、個人的なことを一般質問で繰り返して取り上げられたことを問題視しているという。

「私を陥れようとしている」。本紙の取材に応じた柴田町長は一部の議員に対する憤りをあらわにした。「私がとんでもないことをしたかのような言い方をされる」などと、かねてからの不満を爆発させた。

ただ、柴田町長も草を燃やした人物が誰かは明かさなかった。ぼやを巡る追及が仮に「個人攻撃」だったとしても、対応への理解を得る必要はあるはず。町議らが抱く疑問が解消されるまで騒ぎは続きそうだ。