▼岸田文雄首相の三重県入りで、立憲民主党県連の岡田克也顧問は「完全にスイッチが入った」。衆院選は「バンザイ」の掛け声とともに国会解散し、議員らは一斉に地元に散り、選挙モードになる。参院選は、国会閉会がその代わりになることはないのだろう。中川正春代表が呼応するかのように低調な参院選を「盛り上げの意味では良かった」
▼確かに、これまでと比べいささか緊張感が欠けるきらいは否めない。自民党は岸田首相が立候補予定者を応援するパターンをこなして去った。立憲は直後に常任幹事会で、何の用意もないらしい
▼岡田氏のブログは1月の候補者決定以来、一度も参院選について語っていない。首相が県内の企業を回ったのは「異常な事態だ」そうだが、はた目で見ると、岡田氏の音なしの構えの方もなかなか異様な感じがする。争点や対決姿勢を打ち出してもよかった
▼岸田首相の企業訪問の効果を問われて「「関係ない。(労組の)皆さんは本当に一生懸命やってくれている」と答えたのが、数少ない参院選関連の発言ということか。先の候補者決定の1月のブログで、中央の立憲と国民民主党の協力関係停滞を嘆き、にもかかわらず連合三重と新政みえを加えた四者態勢が築かれたことを喜んだ
▼以後も中央は自民と国民、連合の〝蜜月状態〟が進み、共産党との連携は難しくなっている。岡田氏の努力、考えとはむしろ逆の方に向かっているようでもある。ホームページで大書される岡田氏の信条は「正直な政治」「未来への責任」。忠実であろうとすればするほど、物言えば唇寒し夏の空か。