伊勢新聞

2022年6月14日(火)

▼食品ロスの子ども食堂への提供などで活用状況、展望などを福祉部門抜きに県議会で答弁した廃棄物対策局長が、RDF(ごみ固形燃料)焼却・発電事業も独壇場だった。「事故の反省と教訓を今後の施策に生かす」そうだ

▼RDF爆発事故は歴代の三重県企業庁長が答弁し、退職時の本紙インタビューでもじくじたる思いや悔恨を語り、企業庁で語り継ぐことを強調していた。山本里香議員に風化の具体策を問われ、廃棄物対策局長が「将来を担う職員に引き継ぐことも大事。引き続き研修を実施する」。選手交代というわけか

▼役人答弁と感じたのは勘ぐりか。「なぜそうなったか」の質問に答える材料の持ち合わせはあるまい。意図的かどうか、不都合なことは表舞台から消すのが県の常とう手段。典型は四日市公害だろう。コンビナートの計画・誘致は県だが、四日市市へ窓口を移管。県に関連資料はない

▼語り継ぐどころか、教訓にもできないことは被告企業が30年後、六価クロムの有害物質を土壌埋め戻し剤として製品化したフェロシルトを、県がリサイクル製品のお墨付きを与えたことでも分かる

▼企業庁がRDF事業の前に手がけた青山高原保養地分譲事業も、旧白山町に後処理を委託した。西武資本と組んだ第三セクター・志摩東京カウンティーの惨敗も、観光担当者のほとんどが知らない

▼RDFは議会が根気よく追及しているから何度か総括をやり直す形になっているが、企業庁から廃棄物対策局へ、そろりと軸足を移したらしい。さてどう表舞台から姿を隠すか。県の裏技に関心のある向きは注視を―。