伊勢新聞

2022年6月2日(木)

▼一見勝之知事の定例記者会見でこのところ、新型コロナウイルスの感染状況についてのコメントがめっきり減ったと思っていたが、実際には触れていた。これまで通りを繰り返すだけなのであまりニュースにはならなかったとみえる

▼例えば、5月31日。病床使用率の低率を説明して「落ち着いてきている」と述べ「ただまあ」。「まったく問題ありません」という数値ではなく「新規感染者も出ている」とし「感染することもありますので、また注意していただきたい」。文字にすると、ついでか「運が悪い人は注意を」と言っているようで、緊張感を解かれかねない

▼マスクの利用についてもそうだ。県のホームページは「マスク着用」の徹底、「マスク着用・手指消毒」など基本的感染防止の徹底を県民に呼びかけているが、厚労省の緩和策も紹介している。知事の考えはどうか。近くに人がいない、話さないなら「感染しない」から、熱中症も考慮に「つけたり、外したり臨機応変に」。要は「(厚労省方針は)医学の方の判断が入っているので、新しいものは考えていない」

▼これまで通りではあるが、県民への呼びかけを臨機応変にしていくことは、県の責務の気はする。「私の言う通りにすれば沈静化する」などの当初の鼻息は影をひそめた。「減少傾向」という言葉も使わなくなった。「気を許すとやっぱりまた上がっていく」「(一進一退という)感じ」

▼気分は「感染することもあり」だが、発言は慎重に。ワクチン接種率への思いもひところほどでない。知事の真価が問われるのはこれからである。