▼中国ウオッチャーとは現代中国政治の専門家、学者らを指す。発表や人脈を駆使して分析するが、公式の場での幹部の序列、席順などを注意深く見て、奥の院で展開されている動きを推測することが重要だからだ
▼三重大学が中国並に情報の公開度が低いかどうかはともかく、同大病院臨床麻酔部で起きたカルテ改ざんや薬剤納入などを巡る贈収賄事件で教授や准教授が逮捕され、麻酔科医が大量退職して機能不全に陥ってから1年半。新体制が発足。組織統合した「麻酔科」科長に岡山大学講師から教授として賀来隆治が着任した
▼一般的に大学機構では「講師」は教授、准教授に次ぐ位置づけ。准教授を飛び越えて教授に就くことに意味があるか。とかく秘密のベールに包まれている三重大の1年半に起きていたことを人事から読み解くには中国ウオッチャー並の専門知識がいる
▼事件前18人いた麻酔科医は4人に減ったが、新体制で8人という。十分とか復旧という言葉が使えるか。麻酔科医育成プログラムは来年度再開の考えというから、医師確保、医療提供体制にとって重大な問題だと、県包括外部監査人が昨年2月、監査対象年度外としながらも県に調査と対策を求めた状況は変わっていない
▼他大学の講師からの抜てきは、大学特有のしがらみにとらわれず思い切った改革ができる期待もあるが、古巣の岡山大大学院医歯薬学総合研究科はセクハラ問題などで元教授2人が解雇などの処分を受け、一昨年、広島高裁で決着したばかり。現在は学長選任を巡り現・前学長が争う
▼就任は、違和感なくできそうだ。