伊勢新聞

2022年5月23日(火)

▼三重県議会は来年の議員任期満了まで1年間の正副議長ら役員を選任した。「開かれた議会を目指す」という前野和美議長の抱負は、とりわけ大切なことだろう。定数3減の追い風はあるにしても、斬減傾向が続く投票率という形で、成果はすぐに判明する

▼出席議員は49人で、無効票が前野議長2票、藤田宜三副議長4票。前正副議長選では各6票、8票だったから大きく減らしたとはいえ、各議員の思惑が錯綜(さくそう)した定数問題という懸念がなくなった中で、なおしこりの存在がうかがえる

▼青木謙順前議長は任期最後の記者会見で、就任時に掲げた政治倫理条例の見直しについて「今後は条例改正に向けた取り組みが進む」と語ったが、新議長の所信表明や会見で取り上げられることがなかったことも、分かりやすさから見ればマイナスか。中身次第で開かれた議会をアピールできるツールになり得る。しっかり取り組んでもらいたい

▼前野議長が独自に表明した抱負は、外部識者から意見を募って議会活動に反映させること。これまで何度か試みられてきたが、結果はいつも散々。ほとんどが実現困難だったり、提唱自体が、玉虫色となって何が言いたいか判然としないことも少なくない。屋上屋とならぬ工夫がまず必要ではあろう

▼正副議長の申し合わせ任期は2年。実質は1年で交代し、就任時に考え方を聞かれるのが恒例。青木前議長は「1年たったところで一度辞表は出したい」と答えた。議員任期が残り1年の今回は、そんな不毛なやりとりを繰り返す必要がなかったのは、開かれた議会のためには、めでたい。