伊勢新聞

2022年5月22日(日)

▼一見勝之三重県知事が、地方の自立的な行財政運営支援や防災強化予算などを関係省庁に要望した。恒例の活動だが、名称が国家予算要望から「国への提言・提案」に変わったのは北川正恭元知事のいわゆる北川改革からではなかったか

▼国のメニューから県が施策を選ぶ時代は終わった、これからは地方が国に提言して実現していく時代だとか何とかで今の名称にした。実際どうだったかの評価は身に余るが、職員らは意気軒高で、県の施策が国に反映されたとか、国の職員から詳細な聞き取りがあったなどと鼻息を荒くしていたものだ

▼それから四半世紀強。今回は、提言・提案のかけらも見当たらない。金子恭之総務相との面談では地方一般財源の充実や臨時財政対策債の発行縮減などを求めた。要は、お金をくださいということだろう

▼財務省でも当然同じ。自民、公明両党幹部にはG7(主要国首脳会議)関係閣僚会合の県内誘致への協力要請だけ。県の目玉施策への理解を求めるなどは、無い物ねだりに違いない

▼金子総務相は一見知事の要請に大きくうなずいたらしい。「なるべく臨時財政対策債に頼らないよう、しっかり(一般財源を)確保したい」。古巣での顔を立てたのかもしれない。その上で「デジタルやグリーンにもしっかり取り組んでほしい」。県のデジタルはすっかりトーンダウンし、軽自動車のグリーン化特例が制度改正で電気自動車に限定されたことなどはろくに周知もしていない

▼金子総務相は、知ってか知らずか。してくればかりでなく、やることもやってよと言っているようでおかしかった。