2022年5月13日(金)

▼県議会の青木謙順議長が任期最後の定例記者会見に臨み「中身の濃い一年だった」。コロナ対応の緊急会議開催と、長期ビジョンへの申し入れをあげた。過去を振り返る人間がまず念頭に浮かべるのは、直近のことになるのに違いない

▼就任時に掲げた政治倫理条例の見直しは「今後は条例改正に向けた取り組みが進められる」「政治倫理のあり方を検討する機会になった」。中身が濃かったかは今後のお楽しみということだろう

▼濃淡は個人の感覚でも違う。濃い例として差別解消条例案だが、議員が被差別者の住所などを公表した問題には触れない。住所公表問題で、差別解消に特に新たな取り組みはもたらさなかったようだが、半面、損害賠償や和解などの相手方の氏名、住所を議案に記載しないことを決めた。県民への課題の報告より、自分たちが二度と巻き込まれないことを優先したように見える

▼「中身の濃さ」は「議会の存在感」をどれだけ県民に浸透できたかと一体でなければならないのではないか。長期計画の見直しはむろんその一つだろうが、策定延期には議会自身から批判も出ていた。看護大学の議決を経ない授業料などの値上げと再議決はむしろ存在感の軽さを印象づけた

▼「議長としての役割を果たせたことに深く感謝する」。昨年末の「今年の一字」で「凌」を選んだ。「他よりまさる」とか「辛抱して何とか切り抜ける」の意。青木議長は知事交代や新型コロナ、三重とこわか国体・大会中止などの「スピーディーな判断」をあげた。「切り抜けた」という個人的な思いが強いのかもしれない。