伊勢新聞

2022年5月6日(金)

▼外国人を含む14歳以下の子どもの数は41年連続で減少し、原因の一つにコロナ禍での出産数減少があげられていた。41年分の責任をそっくり負わされてはコロナも迷惑だろう

▼総人口に占める年少人口(ゼロ~14歳)割合は48年連続減少して11・7%。県平均も同率程度だろうが、20年後を予測した十数%への到達は早まるかもしれない。日本創成会議が消滅可能性都市を公表して全国の自治体に衝撃を与えたのは平成26年。国立社会保障・人口問題研究所が30年後の人口予測で、同規模の自治体として全国一、減少率が高いとされたのは南伊勢町で、昨年10月の町長選で課題としてあげられた

▼町が総合計画に人口回復策を組み込んだのは令和元年という。合併前の旧南島町長、竹内組夫が国道整備の推進を眺め「町を出る若者が増える」と懸念してから20数年が経つ。着手はあきれるほど遅い。移住対策や男女の出会いなど、県が進めた人口減少対策も似たようなものではないか

▼何かやっているというアリバイ証明みたいなものだったという疑惑は、一見勝之知事が就任直後、専門の部署がないことに驚いたと語ったことで確信に近くなる。成果をあげていたなら、そうは言うまい

▼児童生徒数の減少で、学校の統廃合の検討が「廃止ありきではない」(木平芳定県教育長)などとして始まったというのに、年少人口に特化したデータがホームページ上には見当たらない。いじめや虐待とはまた違う子どもの成長過程に寄り添う施策が求められる。