伊勢新聞

「まる見えリポート」玉城町長・町議補選あす告示 高齢化率20%超どう対応 三重

【健康づくりのための体操に取り組む住民ら=玉城町佐田の地区学習棟併用施設で】

任期満了(4月18日)に伴う三重県の玉城町長選と、欠員に伴う町議補選(被選挙数1)が29日、告示される。町長選には5選を目指す現職辻村修一氏(73)=妙法寺=と、元町議の津田久美子氏(49)=田丸=が立候補を表明しており、一騎打ちとなる見通し。選挙を前に、町の課題を探った。

人口約1万5千人。比較的交通の便が良く、企業立地も多い玉城町だが、近隣市町同様に少子高齢化は懸案の一つとなっている。町によると、平成17年から65歳以上の高齢化率が20%を超えるようになり、2月末現在で27・73%と、緩やかな増加傾向にある。

少子高齢化と共に、医療や介護に頼らず自立した生活を送るための健康寿命に対する考え方が近年注目されている。町保健福祉課によると、令和2年度の町の特定健診の受診率は49・7%で、県全体の42・1%と比較しても高く、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の受診率も県内で比較的低い水準を維持している。

一方、がんや脳出血などの年間医療費は高い傾向にあり、個々の健康への意識啓発が課題となっている。

町では平成28年4月から、住民主体で健康維持に向けた身体づくりを目指してもらう「元気づくり会」の事業を開始した。

ストレッチや腕立て伏せなど軽度の筋力トレーニングを15分単位で段階別に3種類にまとめたメニューを作成し、各地区に配布。職員による半年間の講習を受けた住民が「リーダー」となり、地区単位で自主的に運動に取り組んでもらう取り組みで、当初4地区から現在は32地区にまで拡大している。

新田町地区では、導入当初から毎週月曜日と木曜日2回、教室を開催。下は50代から上は80代まで、女性を中心に毎回平均10人前後の参加があるという。

他地区からの参加に制限はなく、伊勢市からの参加者もいる。腰や脚の痛みに対する改善を実感する声も上がっているという。

リーダーの一人として教室をまとめる宮本雅子さん(75)は「普段動かさない筋肉を使うだけでなく、情報を交換する交流の場にもなっている。認知症の予防にもつながるので本当にありがたい」と笑顔を見せる。

参加者には毎回血圧や体温を測定してもらい、定期的に町に報告している。欠席の頻度から異常があった場合の迅速な察知にもつながるとしている。

課題は交流に乏しい一人暮らしの高齢者だ。積極的に交流に参加する高齢者だけでなく、人付き合いが苦手で極力外出を避けたがる高齢者の関心をいかに引き出すかが重要となる。

参加者の一人で、見守りボランティアの活動を続けている西村真理さん(72)は「一人でも多く参加できるよう、見守る人を増やすなどのケアが必要」と話す。

町議補選には元職2人、新人1人の計3陣営が立候補を予定し、選挙戦となる見通しとなっている。

期日前投票は30日―4月2日午前8時半―午後8時まで、田丸の住民ホールで。投票は3日午前7時―午後6時まで、町内5カ所の投票所を予定。4年前の前回町長選の投票率は63・73%だった。

同町選管によると、3月1日現在の選挙人名簿登録者数は1万2567人(男6032人、女6535人)。