2022年3月26日(土)

▼五年後を見据えた県政の中期計画「みえ元気プラン」策定を一見勝之知事が明かしたのは昨年9月の就任会見。十年単位の長期計画「強じんな美し国ビジョンみえ」の策定は同11月の県議会全員協議会の場だった。今年4月予定の最終案が二カ月ほどずれ込み、議会提案は6月から9月議会へ先送りされる

▼「多くの意見を聞き、よりよい計画を策定するため」という。「議会から受けた両計画の概要案に対する多くの意見を計画に反映させるため」とも。一見県政が出だしからつまずいたかにも見えるが、責任は県議会などにあり、自分たちはいいものにしようとしているだけということだろう

▼前県政の「みえ県民力ビジョン」から「強じんな美し国ビジョンみえ」への変更がいわゆる新県政に付きものの看板の書き換えにとどまらないのは年度ごとに県政運営の方向性を示す「経営方針」を「行政展開方針」と改称したことでも分かる。県政への損得を基準に民間への公平な対応を「悪しき平等」と呼んだ前県政に対し、一見知事は「稼ぐことや収益を上げることに特化してしまう危惧」

▼中長期計画が名称の変更だけでなく、意識改革の領域にまで踏み込まざるを得なくなった可能性はある。これまでパブリックコメントを含め「多くの意見を聞き」などしてこなかったということであり、「議会の意見」も、個別に説得して回る根回しでは収まらなくなったということでもあろうが、それらを口実に延期するしかなかったということかもしれない

▼9月議会に公表される最終案での比較がにわかに楽しみになった。