伊勢新聞

2022年3月22日(火)

▼20日の新型コロナウイルス新規感染者は348人で、90代男性1人が死亡した。基礎疾患があり、三重県は「新型コロナが死因だった」

▼14日に死亡した60代男性は別の症状で医療機関に救急搬送され、感染は死後判明。死因について発表はない。8日の70代と60代の男性2人は基礎疾患があったというだけ。3日の60代男性、80代女性の2人は基礎疾患があったが「新型コロナが死因ではなかった」(県)。何がどうなっているか、分からないのは大方の読者も同じではないか

▼死因の判断の難しさはテレビの医療ドラマで得心するところがあったが、県医師会の機関誌で、県立一志病院の医師が、ワクチンの副反応疑いの症例を厚生労働省に報告した2例について書いていた。2回目の90代と80代の男性で、1人は呼吸困難、1人は左手脱力と倦怠(けんたい)感

▼一般論として、接種後の症例との因果関係がないことが多いとされているという。検査で他の原因が分かった場合はもちろん、接種直後に強い症状がない場合も否定的とされる。また、接種直後に症状があっても、他の疾患の可能性が否定できない。十分な情報がない場合も同じ

▼2人の男性は、基礎疾患があってもそのための副反応かどうか不明。神経系検査をしておらず、評価は不十分。心理面の関与も疑われるという。副反応疑いで報告した例でさえかくのごとし

▼結局、分からないものであることがよく分かったといえようか。県はそのまま公表している、県民に分かりやすい情報の提供というより、ただ垂れ流しているだけかもしれない。