伊勢新聞

2022年3月8日(火)

▼三重県立高校活性化計画案に「高校の統合」を盛り込んだことについて、木平芳定教育長は、現行の配置を継続するのは困難とした上で「統合の結論ありきで協議せず、地域の実情に応じて丁寧に進める」

▼同案は「1学年3学級以下の高校は統合についての協議も行う」とし、対象地域に協議会を設け具体的内容を「丁寧に協議」する。「統合という結論ありき」ではなく「地域の実情に応じ丁寧に進める」という。統合への協議をするとしながら、統合の結論ありきではないという論理は矛盾していないか

▼言わずもがなの「丁寧」を繰り返し強調することで、よろいを柔らかい衣で包もうという意図が見え隠れする気もする。同案は高校活性化について理想像をまんべんなくあげる。「誰一人取り残さない教育の推進」「人口減少に対応した学びの推進」「子どもたちに必要な学びの実現に向けた教職員の資質向上と学校経営改善」

▼特別支援、不登校、日本語指導、経済的困難、義務教育の学び直しなどに対応した教育環境を整備し、中学校卒業者の急激な減少に備え、多様なニーズに応える各学科や定時制、通信制の改革に取り組むという。が、それらの具体的進め方には言及せず、その末尾に高校統合問題を加え、こちらは「これからの時代に求められる学びを提供できる県立高等学校のあり方」の別章で具体的進め方を〝丁寧に〟詳述する

▼市町教委が「統廃合の結論ありきではない」と言ってきた小中学校統合の〝悪夢の再現〟でないことを願う。一見勝之知事の「人口減少対策元年」も少しは計画に反映させて。