▼県を含む10都府県の複数の「まん延防止等重点措置」の延長を複数の政府関係者が明らかにしたと共同電が伝えた翌々日、一見勝之知事は記者会見で「現段階では解除するのか延長するのかは決めていない」
▼初めて「重点措置」を要請した前知事の時は逆だった。国へ要請する方針を表明した時、国は認定に否定的だったが、結果は県に追随する形になった。似た例はほかにもよく見られ、国との太いパイプを印象づけられた。一見知事はどうか
▼仮に報道の通りなら、県民への情報提供について知事は遅れをとったことになり、複雑な思いをするのではないか。四日までに対応を決めるというが、さてどうなるか。一見知事は「以前と比べると感染者は少なくなってきた。病床使用率は50%を切っているので、相当に厳しいという状況ではない」と、感染状況が「改善傾向」との認識を示したという
▼五波のデルタ株と六波のオミクロン株で、ウイルスは異なる性質に変異していると指摘されている。未知の戦いを強いられていることへの懸念はあるのだろうか。「以前と比べ」ての感染者減や病床使用率低下は、感染者や自宅療養者の絶対数の多さを別にした話。「相当に厳しいという状況ではない」と言えるのかどうか
▼分かるのは、これまでと比べて段違いに高齢者が死んでいることである。感染力は強いが重症化率は低いとされながら、高齢者は亡くなっていくのは、感染者の数が増えたことによる必然ということか
▼都合のいい数字だけ強調するのは、場合によっては弱者、高齢者の切り捨てとも映りかねない。