2022年2月20日(日)

▼「イギリス人は歩きながら考える」は、笠信太郎著『ものの見方について』冒頭の一節。「フランス人は考えてから走り出す」「スペイン人は走り終わってから考える」などと続く。日本人は出てこないが、「歩き出したら止められない」というのはどうか

▼沈没船から脱出させるのに、日本人には「皆さん飛び込んでます」と言うのがいいという有名なジョークを紹介したノンフィクション作家早坂隆さんが新作を発表したという。「コロナ禍で何が必要か」の問いに、米国人は「勇気だ」、ドイツ人は「ルールだ」、フランス人は「愛だ」。対して日本人は「技術だ」

▼最後がロシア人の「ウオッカだ」で、ウイルスは抑制できないから不安を抑制するというのだが、他国は知らず、さすが技術大国を信奉する日本人の性格を読み切っている。〝技術神話〟と言ってもいいかもしれない。ワクチン三回目接種率が全国を下回っていることについて、一見勝之知事が「出だしが遅かったが、これから追いついていく」

▼就任以来第六波対策に傾注。「私の話を聞いてもらえば被害を最小限に抑えることができる」とも語ったが、またも後手になったことを認めたか。「早く打つことが大事」とも言ったから、こちらが「私の話を聞いてもらえば」の中身か。ワクチンという技術で克服できるという信念は揺らがないのだろう

▼第五波の成功体験に基づく態勢、対策を堅実に踏襲する。ウイルスは変異し感染は様変わりしている。どう織り込んでいるか。成功体験が忘れられない。いや固執以外、考えていないのかもしれない。