▼子どもの虫歯の多い地域を調査した公衆衛生医の岩室紳也・ヘルスプロモーション推進センター代表が、指導はその家庭だけでなく社会的背景、育児負担の軽減にまだ踏み込むことになったという。孫に甘い祖父母だけでなく、忙しい親がついつい子どもに菓子を与える。地域全体で育児環境を改善していくことが求められる
▼病の克服というのは、症状抑える対症療法とは別に、社会全体を見つめ直す広い視野が必要なことは、新型コロナウイルスで思い知らされたことでもある。12日の三重県内は603人が感染して、五日ぶりに700人を下回った。翌13日が517人、14日は597人で、斬減傾向だが、連休ではあり、より感染力が高いとされる変異株「BA・2」も発見されている
▼県の感染症情報プロジェクトチームは「危機感を持って対応しなければならない。感染防止対策の内容は変わらないが、より一層の徹底を県民に呼び掛けたい」。「一層の徹底」というからには「特に何を」と聞きたくなるが「対策の内容は変わらない」。打つ手のない状態が続く
▼庶民の「徹底」としては、葬儀や法事も大規模なものはめっきり減った。地域住民はもちろん、親族の出席も大きく制限し食事はなく、形ばかりの法要で済ます。コロナ後は分からぬが、完全に旧に戻る家は少なくなっていくだろうと僧侶が言う。故人を思う身近な人が集まればいいわけだが、しかし、という
▼人が死を迎えるケースはさまざまで、故人を語ることで家族や地域住民との絆を深めてきた。地域社会の崩壊が加速されないか、と。