伊勢新聞

2022年2月7日(月)

▼一つの企画が当たればどこもかしこもその企画ばかり、というのが日本のテレビ局の特徴といわれる。結果、箸の上げ下ろしみたいな情報で競うとやゆされたが、このところ医療ドラマがやけに増えた。命の危機にかたずを呑ませて、乗り越えるパターン。コロナ禍の影響もあるか。おかげで真偽不明の知識が増えた

▼代表的なのが、死因の特定がいかに難しいか。複数の病変や傷害の中から断定するのは至難の業というのだが、実際は―。新型コロナに感染した死亡者に対し、三重県の「新型コロナが直接の死因ではない」という発表が相次ぐ。感染していようがしていまいがに関係なく、その人は死んだのだと言っているように聞こえる

▼やはりテレビドラマは絵空事。未知の部分が多い新型コロナウイルスといえども、死因に関わったかどうかぐらいは簡単に判別できるということか。5日の感染者は771人で、前日の736人を上回り、前々日の1013人に次いで過去2番目の多さ。死亡は今月9人で、4日は男女4人。4人以上は150日ぶり。数が増えるにつれ、県も手が回らなくなっているか、状況説明はどんどんあいまいになっている

▼自宅療養者が前日比230人増の5474人だが、第5波のように入院未調整が含まれるのかどうか。自宅療養に欠かせぬパルスオキシメーター(血中酸素濃度測定器)も、1850個から2千個追加すると言っていたが、そうなってはいないらしい

▼第5波で散々指摘された保健所職員の不足、過重労働も、改善どころかさらに深刻になっているようだ。