伊勢新聞

2022年2月4日(金)

▼三重県包括外部監査人の包括外部監査結果を受けて、一見勝之知事は「執行に重きを置く行政はチェックが甘くなりがち。外部に厳しく見てもらうことが大事。早いタイミングで改善したい」。昨年は同報告について鈴木英敬前知事が「(監査対象が)全力でコロナ対応をしている医療保健部だったので質問に答える余力が少なく、やや説明不足な点があるが、指摘を踏まえてしっかり改善したい」

▼就任3カ月目の新知事と、3期の前知事の県行政に対する見方の違いかな。今回の対象は「防災・減災」。前知事の注力分野で、その看板指針だった「みえ県民力ビジョン」の第三次行動計画が標的。効率性、経済性に著しく反しているとされた「指摘」の筆頭が、三重大学と共同で設置した「防災・減災センター」の野放し状態の管理だから、時宜にあったというか、タイムリーというか

▼「指摘」より軽い「意見」が、やはり前知事の看板施策の県民参加型予算「みんつく予算」の運用。県民の提案は企業と提携して避難所に段ボールなどで間仕切りを設けることだったが、県産材を使った防災ベンチに入れ変わっていたという

▼「市町の要望」というのが県の説明。プライバシーや授乳、障害者らの切実な願いを反映させた提案者の趣旨は実質、跡形もなくなった。また、みんつく予算への提案に、県は県民からの意見を求めて採否を決めるとしていたが、61人から寄せられた意見は一つも顧みられなかった

▼県と提案者の相対で変更などは決められたという。「県民参加型」の美名に隠れた実態が浮かび上がってくる。