伊勢新聞

2022年1月27日(木)

▼「一部に厳しい状況があるものの、持ち直しつつある」と、東海財務局津財務事務所は昨年11月―今年1月の県内経済情勢について2期ぶりに上方修正したが、第6波の感染状況は「反映していない」(斎藤誉所長)。県内は再び「まん延防止等重点措置」が発令され、じりじりする展開は続く

▼「半導体集積回路(メモリ)も価格が下落して生産が減少」の構造は本紙『半導体漫遊記』に詳しいが、それと「スマートフォンやパソコンの受注減」とが連動しているかのような説明は、コロナ禍でオンライン授業やリモート会議が増えている中で、不思議な気はする。先端技術で後れを取っていることを反映しているのかもしれない

▼雇用情勢は平成27年10月以来の上方修正。が、宿泊、飲食業界中心に感染状況への不安があり、オミクロン株を見据えた懸念も見られるという

▼県は「まん延防止等重点措置」発令の一方、濃厚接触者の検査や感染者の行動歴調査を縮小した。具体的には無症状の濃厚接触者への検査中止、検査キットの配布も、エッセンシャルワーカー以外は重症化リスクのある人に限定。感染者の行動歴調査は発症前14日間から同2日間に短縮した

▼厚生労働省の専門家会議「アドバイザリーボード」は、重症化リスクの低下に伴い自宅待機や受診控えなどを提言し、厚労省も追随の動き。県は同省の「柔軟な対応」という通知を踏まえた縮小とするが、第5波を教訓にした保健所職員の増員策がすでに限界で、同機能のマヒの回避が主因

▼感染拡大の備えは不発だった。経済振興策の方はさて―。