伊勢新聞

2022年1月17日(月)

▼昭和47年から6期23年三重県知事を務めた田川亮三のイメージカラーは「緑」。後援会名は「緑と命を大切にする県民の会」だった。四日市公害が背景にある

▼続く北川正恭元知事の口癖は「さわやか」。県職員が一斉になびいて、何ということもない会議も「さわやか会議」だ。北川氏本人が「県職員はするどい。レクチャーなどで、私の気に入りそうな言葉をちりばめてくる」と笑っていた

▼野呂昭彦元知事は、就任早々RDF(ごみ固形燃料)施設爆発など、いわゆる「北川県政の負の遺産」の処理に追われ、のちにフェロシルト事件の責任者になった。父・恭一は伊勢湾台風時の県議会議長。自衛隊機と全日空機が衝突した時の防衛政務次官。父子二代にわたり重大事故に巡り会う運―などと書いて不興を買った

▼鈴木英敬前知事は、退任後に聞く「パフォーマンス(だけ)」の評にポンと膝を打ったが、一見勝之知事はどうか。新型コロナウイルスに対する県民の危機意識を促すため、マスクや防疫服ではなく、防災服を着用するというのが、いかにも的外れのようでおもしろい

▼自身策定した対策指針「みえコロナガード」に基づき、感染状況によって県独自の「感染拡大防止アラート」「感染拡大阻止宣言」「緊急警戒宣言」と進め、さらに悪化傾向の場合、国の「まん延防止等重点措置」「緊急事態宣言」の申請が手順だが、一見知事はここへきて「まん延防止等重点措置」要請を準備し、認められない場合「緊急警戒宣言」という

▼手順前後にしてまた何か、おもしろいことを考えているのかもしれない。