伊勢新聞

2022年1月16日(日)

▼「マニュアルは整備しておかなければならない。が、現実に災害に直面したら、マニュアルにこだわってはいけない」というのは東北大震災を最少の被害で乗り切った地元紙幹部の話

▼新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、県は対策指針「みえコロナガード」に基づいて二日連続17人以上になった段階の八日付で「感染拡大防止アラート」を、人口10万人当たり新規感染者数が八人に達した12日は「感染拡大阻止宣言」を発したが、同15人になって「緊急警戒宣言」の基準になった翌13日は「病床使用率などを勘案しながら対応を検討する」

▼基準に達しても「緊急警戒宣言」の発令をためらった感のある第五波を思い出させる。県民に自粛を求める「アラート」「阻止宣言」はマニュアル通り出せるが、飲食店などへの影響が避けられぬ「警戒宣言」は、やっぱり慎重になるか。二日連続15人となった14日は、新たな措置を講じることも視野に検討を進めているという。後追い転じ、先手を取る新たな対策でも思いついたのかもしれない

▼一見勝之知事の勇気ある提案が実現したか、国も同じことを考えていたか。濃厚接触者に課せられた待機期間が14日から十日に短縮された。医療従事者や行政マンなどエッセンシャルワーカーの業務が制限されるというのが理由だが、むろん経済活動への配慮も大きいに違いない

▼元の社会、経済生活に一日も早く戻りたい思いが前提にあるのではないか。ウィズコロナのマニュアルはあるのかどうか。コロナ対策と同様、こちらも日々更新しなければなるまい。