伊勢新聞

2022年1月14日(金)

▼12日の発表で新型コロナウイルスの新規感染者が111人。一並びと言っては不謹慎だが、百人以上は125日ぶりで、基礎疾患がある十代と70代の感染者二人が死亡した。コロナの特性について分かっていることは大半か一部かなど、現段階で確かなことは何もないと散々聞かされたことだが、急変ぶりには驚かざるをえない

▼125日前は昨年9月9日公表分で129人だった。8月11日同の111人に始まって連続29日間続き300人、400人台から515人(8月28日公表分)にまで達した。百人台までには80人、90人と上昇していった。が、今回は20人台から一気の百人突破。先が見えない。デルタ株とオミクロン株とではまったく異なる株と見なければならないということだろう

▼昨年8月の猛威から9月中旬以降、急速に減少に転じ、終息したかに見えた。カミュの『ペスト』と同じである。『ペスト』では人間の油断を見つめる不気味な目を示唆したが、新型コロナの場合は人流抑制、防衛策徹底、ワクチン効果などが理由に挙げられ、国民も何となく納得した。信じたかったという面もあったろう

▼しかし、専門家はそれだけで説明できないと言ってきた。澤田隆裕・紀北医師会長も「何らかのウイルス側要因が関与」と言う。第五波収束後の落ち着きで県民の「感染防止対策の意識が少なからず低下している」と感染拡大阻止宣言を発令した一見勝之知事

▼全国知事会では「濃厚接触者の待機期間短縮」を提案した。感染防止意識が少なからず低下していなければ言えることではない。