伊勢新聞

2022年1月12日(水)

▼今年もまた、おや今日は何の日だったかと一瞬、頭をよぎった10日の成人の日である。余暇の充実を目的に土・日・祝日をまとめて3連休にするハッピーマンデー制度で15日から移動して10年。今も15日のイメージが消えない世代は少数派になっていくのだろうが、ウィズコロナならずとも「余暇の充実」という言葉に時代を感じさせる

▼成人の日は今年で大変革する。4月の改正民法の施行で、新成人に18、19歳が加わる。選挙年齢は6年前に18歳に引き下げられたが、さらに契約関係が親の承諾を得なくても結ぶことができ、結婚も同様。裁判員の選任対象にもなる。制度上の矛盾は、喫煙、飲酒、公営ギャンブルが従来通り20歳以上のままというだけになる

▼多くが高校3年生で選挙権を得ることの懸念は6年前に話題になったが、一票の重みもさることながら、6人の裁判員の一員となって裁判官3人とともに死刑判決にも加わる重みとは比較になるまい。被告も不安なのではないか。主権教育に腰が引けている県で、司法教育には何か考があるのだろうか

▼これまでは取り消しが可能だった悪徳商法などの被害に対する教育の責任はどこが担当するか。伊賀市は来年の成人式から参加者を18歳とし、5月の「みどりの日」に実施すると決めている。成人の日と成人式が分離され、あれっ、今日は何の日だっけと戸惑う人はむしろ増えることになりそう

▼今年の成人式に出席した市町長は、大変革前の最後の新成人であることに特に触れなかった。今年の新成人に話しても仕方ないということだろうか。