伊勢新聞

2022年1月11日(火)

▼仕事のストレスを発散する方法は、世代ごとに違うことが民間の人材総合サービス会社の調査で分かったという。51~60歳の「バブル期世代」で一番多いのが旅行で、16~25歳の「Z世代」は食事。ぶらり一人旅と、グルメの違いということか。要は、何によって気分転換するかなのだろう

▼昔は、ガード下などでの飲酒ぐらいしか発散方法がなく、そこで上司の悪口を言うというのが相場だったが、「バブル期世代」の男性でも飲酒が2位で、食事、映画・テレビと続き、5位に「家族・友人」。多様化し、仕事のことを家庭に持ち込んだり、友人に話すことはタブー視していた世代とは今昔の感

▼ニュートリノ振動を測定するT2K実験の代表、市川温子・東北大大学院教授が研究テーマを中国に先行された時、飲めない酒をあおったとNHKの科学番組「サイエンスZERO」で語っていたのでうれしくなったが、ストレス発散に「会社同僚」をあげたのはバブル期世代の女性だけ

▼なにしろ、部下を酒や食事に誘うとパワハラとされかねない時代だ。「同じ釜のメシを食った仲間」など死語になるに違いない。Z世代の男女と、26~40歳の「ミレニアル世代」の女性に「音楽」が登場する。むろん「貴様とオレとは」などという歌ではあるまい

▼飲酒が1位なのは41~50歳の「就職氷河期世代」。ストレスの内容は「人間関係」が最多で、他の世代に比べ、発散法への回答数が少ない。発散法自体、持っていないらしい。飲酒も内にこもるタイプか。猛烈社員全盛の時代にも少なくなかった。