万協製薬(松浦信男社長)は昨年12月16日、三重県多気町仁田の同社で三重労働局の西田和史局長から、障害者雇用に取り組む優良な中小事業主として「もにす」認定を受けた。名称は「ともにすすむ」から取っている。県内4番目、製造業では初めての快挙となった。
厚生労働省は令和2年4月、同制度を創設した。認定企業を障害者雇用の身近なモデルとしてアピールし、地域での取り組みの推進につなげるとともに、認定企業は自社の商品やサービス、広告に認定マークを表示できる。
西田局長は「トップが率先してメッセージを出して取り組み、素晴らしい」とたたえた。
松浦社長は「障害者を雇えば、みんなで頑張ろうと社内の雰囲気が良くなる。離職率が下がる」と効用を語った。
障害者雇用担当の開発部生産技術課の佐野雄也さん(38)は「社長が1回やってみようよ、ということで、1人目は知的障害の子。頑張ってもらった。非常に不安があったが、必死に頑張る。スピードは周りと一緒にはならないが、やろうという意欲があり、責任を持ってやってくれる」「周りの子も意識を変え、本人も自分のために配慮してくれている、応えないといけないと感じる。スパイラルアップで現場の理解を深めていった」と語る。
また、「障害を周りに感じさせない子もいる。あれもこれも頼んで、本人もできると思うが、結果がついてこない。周りは何でできないんだと感じる。溝ができるとなかなか埋まらない」「仲裁が私の役割。個人的な連絡先を家族に渡してある。親御さんは『うちで元気がない』と内緒で電話してくる。自立させたい。泣いてるんですよね。なだめながら解決の道を探っていく」と話す。
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障害者の法定雇用率は昨年3月1日に引き上げられ、民間企業が2・3%、地方公共団体が2・6%になった。
万協製薬は従業員約300人。障害者雇用を平成21年から本格的に進めてきた。障害者11人が働き、障害者雇用率は昨年6月時点で3・35%。
県庁は知事部局の障害者雇用率が同2・99%。職員5001人のうち障害者は149・5人。法定雇用率を上回っている。
一方、松阪市役所の障害者雇用率は同1・94%にとどまる。職員2864人のうち障害者は55・5人で、法定雇用率達成にはあと18・5人を採用する必要がある。
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松阪市は昨年12月17日、「障がい者雇用優良事業所・優秀勤労障がい者表彰式」を開き、優良事業所として「農業屋」を展開するクラギ(同市川井町)など4事業所、優秀勤労者として上野屋(同市飯高町宮前)でコンニャク検品に励む勤続14年の東村真里さんら2人を表彰した。
障害者の勤労意欲の向上と、事業者と市民の障害者雇用への理解促進が狙い。コロナ禍でも事業者や市民へ周知しようと関係者だけで開き、10回目となる。
竹上真人市長は「障害を持つ人に勇気と希望を与えた」とたたえるとともに、「市役所は法定雇用率を達成していない事業所の一つ。恥ずかしい立場」と言い添えた。
危機感から竹上市長は昨年1月25日、就労移行支援事業所「ジョブステーションマツサカ」(同市日野町)と障害者が働きやすい市役所づくりの協定を結んだ。協定には、障害者の職場環境・業務内容への助言や、業務指導する職員の育成などを盛り込んだ。
同市総務部は外部委託していた庁舎清掃業務を直営に切り替え、障害者の会計年度任用職員8人を雇用した。会議記録の文書・データ化や、郵便物の収集・発送、報告書の印刷にも従事する。
昨年度の法定雇用率は前年度に比べ0・18ポイント上昇したが、達成にはまだ遠い。