伊勢新聞

2022年1月10日(月)

▼首相就任前と後での言行に疑義が指摘され、施策の朝令暮改の目立つ岸田文雄首相だが、政府・自民党の支持率はいいようだ。リーダーのイメージは大事だということだろう

▼就任直後に策定した「みえコロナガード」に基づく「感染拡大防止アラート」を一見勝之知事が発令した。防災服に着替えて臨時会見の場に臨んだのは「県民に事態が変わったということを認識をしてもらうため」。ボードには県民に求める事項として「マスク会食」。自身はノーマスクなのだから、狙いは県民に伝わったかどうか

▼「みえコロナガード」は、従来の県独自の「緊急警戒宣言」の前段階に「感染拡大防止アラート」と「感染拡大阻止宣言」を設定した。2日間17人以上の基準を上回りながら宣言に踏み切れなかった第5波を教訓にした形だが、具体的対策に新味がなく、県民の自粛に期待するだけ。イメージに頼りたくなるのかもしれない

▼「アラート」には、県が講じる手だてとして「感染経路分析に基づく対策(移動・生活スタイル等行動を変える)とある。7、8両日の公表分に、それを実証する呼び掛けはない。対策が徹底しているはずの医療従事者や介護施設関係者に感染者が目立つのはなぜか。せめて県職員の感染経路は明らかにし、移動・生活スタイルの参考にはできないか

▼「現在は平時ではなく有事であるとの気概をもって取り組みたい」というのは第五波沈静化後、澤田隆裕・紀北医師会長が県医師会会報『三重医報』の巻頭言に掲載した言葉。多くの医療従事者、県、教職員に共通する気概であるはずである。