伊勢新聞

2022年1月8日(土)

▼一見勝之知事が年頭の記者会見で、今年の抱負に「県、前へ」と「積極果敢」をあげた。賛成。前知事が言うと、またかという思いもするが、一見知事なら、このぐらい言ってちょうどいい加減という気がする

▼「県、前へ」と「積極果敢」がどう違うか。言い方を変えただけか。会見の中で該当するとみられるのは「今年の大きな課題」とした人口減少、カーボンニュートラル、危機管理の三点で、子育て関連施策や移住の促進、交通基盤の整備への取り組みだが、どれも前県政の施策の延長であり、「県、前へ」「積極果敢」との違いも見いだせない

▼職員への年頭あいさつで語った「人口減少対策元年」がむしろあいまいになっていく。看板施策、キャッチフレーズ倒れにならないか。新型コロナの第六波到来も、知事の言うように「そこまで」来ているのか、すでに「ここまで」来てしまったかは県民の見方は分かれよう

▼第五波の体験からすでに県内に広がっているという不安も少なくない中で「油断なく対応することに尽きる」というだけでは県民同様、個人の心構えとしてはそうあらねばならぬが、県政のリーダーとして「今年はやっていきたい」という決意が単にスローガンに過ぎなくなり、物足りない

▼並行して進めるとした観光などの経済活動振興策との関連も含め、臨機応変の説明責任が求められる。就任三カ月。「全力疾走で取り組んできた」。これも、個人的自負は否定しないが、具体的成果が「三重とこわか国体・とこわか大会延期断念」というだけでは、大方の県民と共感、一致するかどうか。