▼一見勝之知事が職員への年頭のあいさつで、職務に必要な姿勢は「パフォーマンスではない」。先の衆院選の一連の報道で、国に転進した前知事に対し「パフォーマンスだけじゃないか」と評した自民党重鎮がいた。意識したわけではむろんあるまいが、庁内にもそんな声はあろう
▼「県民を唯一の判断の軸に」という呼びかけも、何となく北川正恭元知事の「生活者起点」のスローガンを連想させる。それまではまず県の立場を優先し、県民に対しては、できることをするというスタンス、すなわち県民は二の次というのが北川氏の指摘。県の立場か前知事の思惑かはともかく、一見知事の目には似たような景色が見えるのかもしれない
▼「目立ちやすい」職員が評価されるようになったのも、北川県政から。旧建設省から出向していた根本匠氏(現衆院議員)が卓越した行政能力にもかかわらず評価が低かったのは「口数が多い」だったが、北川県政では口べたが左遷の理由になった
▼「細かいことを聞く」という庁内での自分への批判を自ら紹介して、一見知事は「これからも県民のために細かく聞くかもしれないが、ぜひ批判いただきたい」。君たちの考えていることはすべてお見通しと言っているようでもある。物言えば唇寒し、か
▼今年の特に大きな課題が新型コロナ、災害の危機対応に加えて、新たに「人口減少対策元年」。前知事の「スポーツ元年」を思い出すが、それとは違う「地に足の付いた地道な努力」を体現してみせるということか。県政のリーダーとして、どう〝華〟を見せるかが課題かもしれぬ。