伊勢新聞

2022年1月5日(水)

▼立憲民主党が、昨年の衆院選の立候補者らを対象に選挙運動時に受けたハラスメントに関するアンケートを実施するという。夏の参院選を女性候補で乗り切りたい思惑らしいが、衆院選の公約に「ジェンダー差別の解消」「各議会でのパリテ(男女同数)を目指す」を掲げた。高い理想、緩慢な足取りという気がしなくもない

▼内閣府の4月の報告書は「食事に行こう」「デートしたい」「住所教えて」などのほか、宴席などで体を触られる、執ような握手、卑わいな言葉、見返りを求められるなど、有力者、一般有権者を問わず、女性候補、同議員が受けたセクハラ、票ハラの一端を明らかにしている。その2カ月後に「政治分野における男女共同参画推進法」が改正され、セクハラ、マタハラ防止の項目が新設された

▼「政党その他の政治団体が自主的に取り組む」の項目も加わる。内閣府調査が明らかにしたさまざまな嫌がらせは、それ以前からとうに指摘されていたことを思うと、参院選に備えて乗り出したことは、いささか泥縄に見えたりする

▼よく知られていることだが、衆院議員に占める女性の割合は昨年10月の総選挙で10.2%から9.7%へ減少した。男女同数、いわゆるパリテ法を20年前に制定したフランスの約40%にはおよぶべくもない。参院議員は23.1%。ほぼ右肩上がりという経験則が今後も維持される保証はない

▼県の男女比は定数2で1対1。7月は女性候補が挑み、10割も視野。いずれも自民党。ハラスメント対策はどっこいにしても、議席獲得手段は一歩リードしている感が否めない。