伊勢新聞

2022年1月4日(火)

▼参院候補者について「年内にしっかりと決まるようにしたい」と立憲民主党県連代表に就任したばかりの中川正春衆院議員が言ったのは「年内」が残り十日余りとなった昨年12月18日。余程の自信が言わせたと思ったが、あっさり越年。といって原因は人材難ではなく、本紙『展望』によると、前回選に出馬した芳野正英元県議が軸という。難航は国民民主党、連合三重、新政みえとの調整らしい

▼先の衆院選で、立憲は大方の予想を裏切って敗北。野党の盟主の立場が揺らいたことも、調整を一層困難にしているに違いない。一方の自民党は早々に擁立を決めた山本佐知子県議のポスターが随所に貼られ、行け行けムード。「再挑戦同士」の組み合わせになりそうなのも、新味に欠け、自民の追い風になりそうだ

▼衆院選は、争点が見えずに低投票率に終わった。政権争奪選ではない参院選はさらに加速しないか。「桜を見る会」の公職選挙法と政治資金規正法違反の告発が、検察の不起訴を「不当」とした検察審査会の議決にもかかわらず、再度不起訴となった。実質問われたのは、税金で後援会活動をしたのではないかというモラルではなかったか

▼森友問題で自殺した近畿財務局職員の妻が起こした裁判は、国が請求を丸のみして終結させた。その陰で、ジャーナリスト伊藤詩織さんから準強姦罪で告訴されたTBS元ワシントン支局長の逮捕状執行を直前に止めた警視庁刑事部長が警察庁長官に昇格した

▼やり場のない国民の怒りが諦観に変わっていく。ちょっと参院の存在意義というものを考えてみたくなる。