2021年12月22日(水)

▼北川正恭元知事と議会の責任をRDF(ごみ固形燃料)焼却・発電事業総括に追記すべきだという県議会防災県土整備企業常任委員会の指摘に異存はない。が、喜多正幸企業庁長の「(県議会に言及することは)なかなか難しかった」などと二つ返事で応じたのには、やはり調子がよすぎる気がする

▼RDF貯蔵槽爆発事故(平成15年7月)の県の「調査最終報告」は「RDF化構想」について文字通り言葉の意味を記すだけ。経緯は事業着手した九年度から始めている。しかし、構想そのものは昭和63年度には浮上し、平成二年度には事実上確定していた。北川氏が知事に就任した七年は、ほかの事業を選択する余地はなかった

▼技術的に確立していなかったとして、議会が事業開始に踏み切った北川前知事の責任を追及し、喜多庁長が「技術的な課題が全てクリアされない中で事業が決まったのは事実」。その通りだが、事故発生に伴う後付けの理屈で、構想浮上から事故まで、確立していない技術だなどとは、県は考えもしなかった

▼燃料となるごみは廃棄物だから材料費はタダ、という発想からくる「バラ色の構想」も一般ごみについて無知なことによる〝誤算〟の連続となる。「処分場に困っている市町村を助けるのも県の役目」という上から目線のご気楽な大義名分も、ごみ処理機メーカーと市町村担当者との強力な結びつきにはね返され、全49市町村(当時)参加の前提から半数が脱落した

▼北川元知事も議会も、不作為で塗り固めた隙だらけの起案の前に、赤子の手のごとくひねられてしまった…。