大観小観 2021年12月14日(火)

▼「人間なので間違ったことはあると思うが」と、相次ぐ警察官不祥事に苦言を呈したのは県公安委員の村田典子さん。「誰にも間違いはある」と言うのは横山秀夫氏の小説『密室の抜け穴』に登場する刑事部長。「警察がそう言ったらおしまいだ」と続く

▼今度は、名張署巡査部長のさい銭ドロだ。昔からある犯罪で被害額も少なく、犯人はホームレスなどと相場が決まっていたが、何と警察官が菰野町の神社で、道具を使ってさい銭箱の鍵をこじ開けた。近ごろ続いた若い警察官と違って、分別もある43歳。「たばこやコーヒーなどを購入するお金が欲しかった」というから、中年の悲哀を感じさせる

▼外国人労働者の制限が緩和されたころ、夜間金庫などを重機を使って破壊する外国人の大がかりな犯罪が相次いだ。動機が報じられた中に「日本は現金や高級品を外に置いている」というのがあった。なるほどそういう見方があるのかと、平和ボケ国民の一人として感じ入ったが、社会を見つめる警察官の見方というのもちょっと考えてみたくなった

▼さい銭箱の鍵をこじ開けたという道具は装備品かどうか。いつぞやの警察官の窃盗事件の時は開錠道具が使われたと言われた。元四日市西署巡査の場合は、官舎に置かれた車からバールやバーナーなど、工具類が多数発見されたという

▼「不審者を見たらすぐ連絡を」というのは住宅団地に貼られたステッカー。不審者がそれと分かるそぶりなどしているかと思ったが、パトロールを日課とする警察官は、普段から無防備な場所を見抜く目を鍛えているには違いない。