伊勢新聞

2021年12月1日(水)

▼全国自治体議会改革推進シンポジウム(仮称)の開催が県議会であまり知られることなく提案されて、断念に至った。くの県民、税金を巻き込み突き進んだ三重とこわか国体・大会のようなはた迷惑ということもない。仰せのままにと聞き流すしかないが、時代は変わった

▼議会改革の先進県と言われたころは、関連会合の主力メンバーとして加わり、事実上全国をリードしてきた。その中心的役割を務めた一人でもある県議会議会改革推進会議役員会の三谷哲央会長がひっそり提案した。賛同が得られなかった理由について「議会基本条例の制定当時から多くの議員の顔ぶれが変わったからでは」

▼予想通りだった、の言動がにじむ。顔ぶれの変遷は比喩というものではないか。自民党、草莽、公明党の三会派が「先頭を切って開く必要があるのか」と難色を示した。「必要が」は「実績が」あるいは「貫禄が」と言い換えると納得しやすいかもしれない。コロナ禍の先行き不透明さも付け加えた。景気対策とはまた、真逆の判断があってしかるべしということだろう

▼議会改革推進会議役員会が存続していたというのも改めて気づかされたことだが、別の役員は議長の選出方法などの改革後退を指摘し「胸を張ってシンポジウムを開けるのか」。「議会基本条例制定15周年」しか、開催の大義名分を提示できなかった同役員会の責任を棚に上げての話だろう。同条例の空洞化は、議会大勢の認識に違いない

▼「開催の機運が盛り上がれば再び提案したい」。今日から12月。ともかくもあなたまかせの年の暮れ―一茶。