2021年11月26日(金)

▼県が財政調整基金への積み立てを失念した問題について、県議会の青木謙順議長が「不信感を与えかねない」として再発防止を指摘しながら、正副議長から「あえて何かをすることはない」

▼予算決算常任委員会で質疑応答などがあり「決算を認定した」ことが理由という。質疑応答で議会としての意向は十分伝えたということか、それとも決算認定後に内容を疑問視する行動は取りにくいということか。議会への不信感が、県民に与えることはないのかどうか

▼いったん決算を認定すると、その中に問題があった場合、県はもちろん、議会も責任を問われる。繰越金失念問題はたまたま本紙が報じたが、明るみにでないで闇に葬られることもあったのではないかという疑念が生じることの不信感である。それをうかがわせたのは、平成八年のカラ出張問題だ

▼発覚はやはり新聞報道で、前年1月の阪神淡路大震災発生当日、監査委員事務局が九州へ出張したことになっていた。過去にさかのぼって検証した結果、組織ぐるみの巨額不正流用が明らかになったが、決算はとうに認定済み。「共同責任になるんで追及しづらい」と代表質問者がこぼしていた

▼実際の追及に影響したかどうかは分からないが、認定した決算の取り扱いで、手続きを終えるのに一年以上要した。県会計の不適正処理は私的、組織的を含めてその後も後を絶たなかった。カラ出張の教訓が県、議会ともに生かされたとは言いにくい

▼決算認定と再発防止の、どちらが議会として県民の負託に応える道か。突き詰めて整理はしなかったからかもしれない。